意外に知られていないせろりの知識
地中海沿岸原産のせり科の一年生または多年生草本。
日本には、豊臣秀吉の朝鮮出兵(1592〜98年)の時、加藤清正が朝鮮から持ち帰ったため、「清正ニンジン」の別名があります。
その後、江戸時代にオランダ人が長崎に持ち込んだ西洋種は「オランダ三つ葉」と呼ばれていましたが、特有の香りが日本人には合わなかったようです。
ヨーロッパでは古くから「薬草」として用いられており、古代ギリシャの医者は万能薬(利尿剤、解熱剤、胃薬、催淫剤など) として使用していました。
「イーリアス」の中にも「英雄アキレウスが、せろりを使って馬の病気を治した」と書いてあります。医聖ヒポクラテスも「神経が疲れたならセロリを薬とせよ」と言っています。確かに香りの成分のアピインに神経を鎮める効果があることがわかっています。
フランスには「男に対するせろりの効き目を知ったなら、女はせろりを探してパリからローマまでも行くだろう」とか「セロリの効き目を一度知ると、男は庭いっ仔ばいせろりを植えまくるだろう」とかいう俗言があり、せろりの強壮・強精作用を示唆しています。
セロリはビタミンA・B1・B2・C の他、赤血球の栄養となるマグネシウムや鉄を多く含むので、貧血の改善、美肌作り、生理不順や更年期障害にも効果的です。また、含有成分のメチオニンは、肝臓の働きを強化します。
せろり、パセリ、にんじん、せりなどせり科の植物には、血栓を溶解し、血液をサラサラにするピラジンが含まれているので、心筋梗塞や脳梗塞などの血栓症に悩まされている現代日本人は、セリ科の植物を十分に摂るべきです。