意外に知られていないだいこんの知識
コーカサスからパレスチナ原産のアブラナ科の一年生草本。学名:Raphanus sativus var. Longipinnatus。「Raphanus」は、ギリシャ語の「raphanos」(容易に生える)からきているようですが日本には、インド、中国、朝鮮半島を経て1200年以上も前に伝播。
「古事記」(712年)や「日本書紀」(720年)にも記載があります。
「春の七草」のすずしろはだいこんのこと。「すずしろ」は「清白」(涼しいの意味)で、もともとは、女性の肌の美しさを言ったものです。「本朝食鑑」に「だいこんには能く穀を消し(消化し、の意味)、疾を除き、吐血、鼻血を止め、めん類の毒を制し、魚肉の毒、酒毒、豆腐の毒を解する」とあります。
だいこんは、デンプン分解酵素のジアスターゼ、たんぱく分解酵素のステアーゼをはじめ、オキシダーゼ、カタラーゼなどの酵素類やビタミンCを多量に含んでいるため、健胃作用があり、食中毒や二日酔いに大変効果的です。特にオキシダーゼは焦げた魚にできる発ガン物質のベンツピレンを分解するため、胃ガン予防に役立ちます。
だいこんの辛味は、配糖体のシニグリンが分解されてイソ硫化シアンアリルができたためのもので、胃液の分液を高め、消化を促進し、お通じを改善します。
また、鉄とマグネシウムの含有量が多く、粘膜の病気を癒す作用もあるので、風邪、気管支炎の咳止めや去疾などに奏効します。食物繊推のリグニンが種々のガン細胞の発生を抑制することもわかっています。生のだいこんには、根も葉も体を冷やす作用がありますが、天火で干した切り干しだいこん、おでんにしただいこん、干しただいこんを三杯酢に漬けたハリハリ漬けには、強力な保温効果があります。