意外に知られていない「こめ」の知識
イネ科の稲の原産地は東南アジアからインドにかけての地域で、日本にはすでに弥生時代に伝播していました。稲の「い」は「息または命」、「ね=根」で、文字通り「生命のもと」という意味です。
おめでたい行事の時には餅や赤飯を食べ、こめの酒を供えるなど、こめを大切なものとして扱ってきたわけです。
第二次大戦後、日本がだんだん豊かになるにつれ、「こめは脳出血や胃ガンのもとになる」という風説が流布し、パン食を奨励する風潮が日本を支配したことがありました。
米どころの秋田県や山形県で脳出血や胃ガンの雁患率が高かったことがその要因でした。しかし、東北地方の人々は豪雪のため、冬には室内に閉じこもりがちで運動不足になり、また、寒さしのぎに酒を飲みすぎ、食事も野菜不足になる傾向があったために、そうした疾病の雁患率が高かったというのが真相です。
こめは、稲からもみ殻だけを取り去ったものが玄米で、玄米からぬかを取り除き胚芽を拷したものが胚芽米です。さらに、胚芽米から胚芽を取り去ると白米になります。
玄米をまけば芽が出ますが、白米はまいても腐るだけなので、玄米は「生き米」、白米は「死に米」と言われ、栄養素の含有量は断然、玄米のほうがすぐれています。
玄米にはこめの炭水化物が体内で消化・吸収されてエネルギーに変わる時に必要なビタミンB1・B2をはじめ、E などのビタミン類、カリウム、鉄、亜鉛、鋼、マグネシウムなどのミネラル類、それに血中のコレステロールを下げてくれるリノール酸や腸内の余剰物や有害物( コレステロール、脂肪、糖類、ダイオキシン、発ガン物質、農薬など) を大便と共に排泄してくれる食物繊維が白米に比べ数倍も含まれています。
しかし、寿司のシャリは玄米というわけにはいかないのは、白米独特の淡白な旨味のせいで、昔から「女房とこめの飯には飽きぬ」とか「こめの飯と女房は白いほどよい」と言われる所以でしょう。
白米ご飯を食べながら、玄米食と同じくらいの栄養効果を上げるには、黒ごま塩(黒ごま8‥租塩2を妙めて、砕いたもの)をふりかけて食べるとよいでしょう。最近、こめのでんぷんに含まれるレジスタント・スターチにコレステロールや血糖を下げたり、血圧を下げたりする作用があることが明らかになっています。