意外に知られていないしその知識
中国南部、ヒマラヤ、ミャンマー原産のシソ科の一年生草本。日本へは8~9世紀に中国から伝わり、奈良時代にはすでに薬用、または食品香味料として重宝されていました。
しそは普通「刺身のつま」として用いられますが、β-カロチン、B1・B2・C などのビタミン、鉄、カルシウム、リンなどのミネラル、クロロフィルなどを多く含む立派な緑黄色野菜で、特にβ-カロチンとカルシウムの含有量は、野菜の中ではトップクラスです。
しそに特徴的な成分は、あの独特の香りの成分であるペリルアルデヒド。防腐作用(制菌作用)があり、魚やかにの中毒に対しては解毒剤として用いられます。
刺身に添えられているのは、このためでしょう。また、発汗、利尿、鎮咳、去疾作用もあるので、風邪に用いても大変効果的です。神経を落ち着かせる作用もありますので、ノイローゼやうつ病、自律神経失調症に使われる漢方薬の「半夏厚朴湯」主成分になっているのも首肯できます。
その他、しその葉(蘇葉)を含有した漢方薬として、「神秘湯」「参蘇飲」「香蘇散」などがありますが、しそ(ペリルアルデヒド)の効能を考えれば、よく理解できます。
しそには他にリノール酸やαリノレン酸などの不飽和脂肪酸が含まれており、脳卒中や動脈硬化の予防、免疫力増強に効果のあることがわかってきました。また、赤じその紫色の色素(シソニン)には、強力な抗酸化作用があり、万病の予防に役立ちます。
血圧が高い人などは、レモンや酢などの酸味や、わさび、しそ、しようがなどの香辛料も積極的に使うようにすると自然に減塩にできます。