意外に知られていないねぎの知識
アジア産のユリ科の多年生草本。
日本には古くから伝えられ、「日本書紀」や「万葉集」にもその記載があります。「葱は気の義なり。根を賞するにより根葱という」と古書にあるごとく、気を高める作用が昔から知られていたのでしょう。
江戸時代に関西人は「関東人は田舎者だから、ねぎの白い根まで食べる」と馬鹿にし、江戸っ子は「関西人はケチだから、ねぎの青いところまで食べる」とあざ笑ったという話がありますが、本当は関東と関西ではねぎの品種、栽培法(関東では土寄せして軟白する) が違うためです。
ねぎを含め、たまねぎ、にら、にんにくなどのアリウム属の野菜は、アリイン(アリル硫化物) が含まれ、強壮、興奮、去疾、発汗、利尿、駆虫などの作用を示し、熱の出る病気に対して用いると、体内の老廃物を排除し、解毒、消炎作用を発揮します。
アリインを含む植物を調理して細胞を砕くと、アリインは一緒に含まれているアアリナーゼ(酵素)により分解されてアリシンに変化し、強烈な刺激臭を放ちます。
ビタミンB1はアノイリナーゼという体内の酵素により破壊されますが、アリシンと結合してアリチアミンに変化すると破壊されないので、アリウム属の野菜はビタミンB1の働きを高め、滋養強壮、鎮静効果を促進してくれるのです。
ねぎの青い部分には、β・カロチン、ビタミンB2・C 、ニコチン酸などのビタミンやカルシウム、リン、マンガン(造血作用)などのミネラルが存分に含まれるので、冬場のビタミン補給にはなくてはならない野菜です。
にんにく、にらと共にねぎは「薫」と呼ばれ、酒と共に禅寺の山門に入ることを禁じられていましたが、実は、強壮・強精作用があるからと思われます。